第35回いばらきのくすり展
「こども調剤体験コーナー」のイベントを終了して
「薬と健康の週間」イベントの一環として平成25年11月8日(土)~ 9日(日)に 「いばらきのくすり展」 がひたちなかファッションクルーズで開催されました。今までは主につくば、水戸と都市近辺で行われていましたが、平成24年から、ひたちなかにあるファッションクルーズという郊外の巨大複合ショッピングモールに場所を移しての開催となっています。平成25年は隣接するひたち海浜公園の一般無料開放と重なったこともあり、大盛況となりました。総来場者数は7,200名を超え、平成24年の記録を塗り替えました。会場では医薬品や医薬部外品、化粧品、医療機器の展示や薬の相談コーナーの開設、こども理科教室、薬に関するクイズラリーなどが行われました。さらに薬事功労者の表彰や中学生を対象に「医薬品の正しい使い方」をテーマに募集したポスターの入賞作品の掲示とコンクールの表彰式なども行われました。
茨城県病院薬剤師会もこのイベントに毎年参加しており、平成20年からは新しい試みとして「調剤体験コーナー」を企画しています。小中学生を対象に、自動錠剤散剤分包機を持ち込み、形や大きさの違うラムネやチョコなどを薬に見立てて処方箋に沿って調剤する体験をしてもらっています。そして最後に作ったお薬?(お菓子)とその服薬説明書の印刷された薬袋をプレゼントしています。さらに服薬指導体験コーナーでは、患者さんには見えないけれども患者さんに適切な医療を提供するために行っている病院薬剤師の裏方的な仕事内容を、日本病院薬剤師会が作成したパンフレットを使って説明しています。そして平成21年からは、グレープフルーツジュースと牛乳を使った注射薬の配合変化の実験をみせる「科学で医療を支える病院薬剤師」のコーナー、平成23年からは「脱水よさらば!経口補水液を作ってみよう!」などの大人も満足する体験コーナーも加わり家族みんなで楽しめるコーナーになっています。平成25年は、お薬手帳に注目して、子供用のお薬手帳を作成する工程を追加して、お薬手帳の必要性と重要性を家族全員にインフォメーションしました。
毎年、家族連れが多く、子供よりも親のほうが夢中になる場面も見受けられ、盛況な企画となっています。参加者からは、「病院薬剤師はそんなことまでしてくれていたんですか?」「全然知らなかった!」「頑張ってください」など激励の言葉も頂きました。今では秋になるとどこで開催されるのか調べてわざわざおいで下さる母子のリピーターや、薬学部の学生のなかには、この体験がきっかけで薬剤師を目指したという学生まで現れてきました。「またやりたいといってお父さんに連れてきてもらいました」「1年間待ちました」という小さなファンも増え、スタッフ一同幸せな気持ちにさせられます。
実はイベントに参加した薬剤師にも変化が起きています。「自分たちはとても大切な仕事をしていたんだ」「自分たちはこんなに人に感謝されることをしていたんだ」 と。 毎日の業務の中で、ともすれば自分たちのやっている仕事が流れ作業的になっており、モチベーションが低下していたことに気付かされましたと反省会の席で話題になりました。「明日から、気持ちを入れ替えて仕事を頑張ろうと思います。」 という声があり、参加した薬剤師は他では得られないものを手にしたようです。
我々が手作りで行っている薬剤師の体験コーナーの企画も、「顔の見える薬剤師」へむけたささやかなイベントとして確実に成果をあげてきています。
2013年 12月10日
茨城県病院薬剤師会 学術部 くすり展担当 新井 克明